Notion HQに公開

コネクテッドカンパニーを構築してサイロを解体し、スピードを取り戻す

作成者: Akshay Kothari

Notion COO

約 9分で読めます

サイロ化というのは、実際にその状況に陥るまで気づかないものです。

大企業のリーダーは、チームやツール、プロジェクトなどを巡り、急速にサイロ化が起きることを痛感しています。必要なドキュメントが見つからない。重要な決定に至った経緯をたどれない。誰に聞けばいいのかわからない。

これらの問題の核心にあるのは情報不足です。バラバラのツールやドキュメントに情報が隠れているため、人とプロジェクト、目標が全員に明確に可視化され、行動がとれるような会社を構築することができないのです。

さまざまな業界のリーダーと仕事をする中で、私はそこにパターンがあることに気づきました。彼らは、ナレッジにアクセスする新しい方法を積極的に創造しています。そしてその過程を通じて、彼らは領域に関係なく勝者として浮上しつつある新しいタイプの企業を作り上げています。それが「コネクテッドカンパニー」です。

それは次のように定義されます。

  • 誰もが一元的に情報にアクセスできる透明性。

  • 全員が組織のリーダーシップと目的に直結していると感じられるアラインメント。

  • チームをまとめ、シームレスなコラボレーションを促進するよう設計されたシステム。

こうした特性が揃うことで、新しいレベルのアラインメント、スピード、イノベーションが実現するのです。

LEGOブロック

これは異なるツールが揃うことによって可能になった、未来への大きな飛躍です。私は小さな会社と大企業の両方で働いた経験がありますが、いま、物事がどれほど変化しているかは明らかです。私のキャリアは会社を創設することから始まり、その会社を20人規模にまで成長させました。その後、LinkedInに入社してプロダクト部門のVPとなり、数千人を同じ目標に率いる仕事をしました。そして今、私はNotionのCOOとなっています。ここで私は人々を結ぶ新しいシステムが、いかにスピード、アクション、より速い成長を可能にするかを、初めて目の当たりにしています。

この新種のコネクテッドカンパニーが何を行っているのか、どうすればこうした企業を構築できるのか、そしてそれがどのように競争に優位性をもたらすのかについて、この記事でご紹介しようと思います。

今着目すべき課題: ハイブリッドワーク、離職リスクなど

競争の激しい市場では、競合他社が待ってくれることはありません。勝利を収めるのは、最速でイノベーションを起こした企業です。そのためリーダーには、人材、システム、テクノロジーをつなげて、チームが迅速に動いて問題を解決できるようにする責任があります。

でもそれは今、かつてないほど難しくなっています。

  • 止まらない大量退職時代: その勢いが衰える兆しはありません。このレポートが発表された時点で、米国では2021年4月以降、1,900万人を超える労働者が仕事を辞めています。企業は、優秀な人材が留まりたくなる理由を用意しなければなりません。

  • なぜそんなに多くの人が辞めているのか?: 理由のひとつとして、ハイブリッドワークとリモートワークへの期待があります。世界の従業員の半数以上が、ワークスタイルに柔軟性がなければ仕事を辞めると答えています。また59%は、勤務する場所に柔軟性のある仕事のみを検討する意向です。ワークスタイルは、あなたの会社が人材を獲得し従業員を維持できるかに深い影響を与えているのです。

    Xまでの道のりを点線で示すマップ
  • 分散したチームには知識を共有する新しいシステムが必要: Workfrontの調査によれば、

    調査対象となった従業員の95%は、職場で情報を見つけるのは Google検索と同じくらい簡単であるべきだと回答しています。

  • だが従業員は必要なレベルの知識にアクセスできていない: 同じ調査で実に71%もの従業員が、一か所で集中的にタスクの情報を管理したいと望んでいます。ですが、69%にとってはそれが実現していません。

  • 問題は多分あなたにも見えていない: マッキンゼーの調査によると、経営幹部と上級管理職の85%が目的意識を持って仕事をしていると回答しています。これに対し現場のマネージャーと従業員でそう答えたのは、わずか15%でした。

コネクテッドカンパニーは、ナレッジへのアクセスを「北極星」、つまり共通の指針とします。

透明性のある情報にアクセスできれば、目標と実行経路が明確になります。チームも各担当者も、仕事のコンテキストや期待されることをよく理解した上で仕事にあたることができます。人々は仕事を自分のこととして捉えて前に進め、必要であれば新しい道を確立していくようになります。自分の仕事を主体的に捉えるからこそ充足感ややりがいを感じ、その組織に留まるのです。

コネクテッドカンパニーを構築することは、従業員を成功に導く体制を整え、その過程で彼らが望むキャリアを築く助けとなります。

コネクテッドカンパニーの構築を始めるための3ステップ

チームと知識をつなぐシステムは、サイロを解体し、人、プロセス、ツールが足並みを揃えて連携できるようにするための最良の方法です。

ここでは、コネクテッドカンパニーのリーダーが実際にそれをどのように実現してきたかをご紹介します。

コンテキストを含む一元的ドキュメント管理で透明性を構築

自分の会社はすでにドキュメント主導型になっていると思うかもしれません。が、Googleドライブにドキュメントが散在している状態なら、そうとはいえません。こうしたドキュメントは孤立して存在しており、互いにどのように関連しているかを把握したり、どのチームやプロジェクトに属するのかを理解するためのコンテキストを得ることは不可能です。

情報アーキテクチャは、全く違うやり方で構築できます。

  • ドキュメント用の単一の場所を作成し、社内の全員がアクセスできるようにします。情報がどこにあるのか、情報を素早く入手する方法を知っていれば、すべてのチームが担当する作業の関連情報を把握することができます。

    道路標識
  • 検索を容易にすることで、ドキュメントを見つけやすくします。チーム別、オーナー別、プロジェクト別など、必要に応じさまざまな見方で表示できれば、使える情報を抽出することができます。

  • ドキュメントの中にドキュメントをネストすることで、関係性を明確にします。たとえばプロジェクトページがある場合は、すべての仕様書やリサーチ結果、ドラフトなども含めて、誰もが必要なものを見つけられるようにできます。

一元的なアクセスとコンテキストの提供により、ドキュメントは自分のチームはもちろん協働中の他のチームにも、とても使いやすいものになります。

部門横断的なプロセスを標準化し、業務をスピードアップ

もちろん、個々のチームには独自のやり方があります。でもチーム間で行われる作業には、アクションに重きを置いた、繰り返し可能で標準化されたプロセスを用意すべきです。

  • ローンチ毎にGo To Market(GTM)テンプレートを使用する: これによりチームのリーダーは、何が必要かを把握し、細部まで見渡して、過去のローンチから学んだことを活用し、適切なチームを構成することができます。

    飛んでいる紙飛行機
  • デザイナー、エンジニア、プロダクト各チームが使用できる共通の仕様を作成する: これにより、全員が同じ方法で問題にアプローチし、部門横断的な仕事を系統立てて展開することができます。

  • 社内の誰もがバグ報告や機能要望、デザイン支援などをリクエストできるシステムを構築する: こうしたリクエストは、何度もやり取りするのを避けるためにテンプレート化する必要があります(「必ずスクリーンショットを添えてください!」など)。社内各所を飛び交う多くのリクエストを効率的に整理できます。

  • 意思決定フレームワークを使用する: WRAP、RACI、MAPなど、チームは全員が同じアプローチを用いて意思決定を行う必要があります。これらをチームが使用するテンプレートに入れて、最前面に配置します。

チーム間で標準化されたプロセスを確立することで、正しいやり方について迷ったり躊躇したりすることを減らし、すでに確立されたプロセスに沿ってすばやく物事を進められるようになります。

「どんなツールも取り入れる」という罠にはまらない

平均して、企業は日常業務を完了するためだけに88種類のツールを使用しています。大規模なチームの場合は数字がさらに悪化し、 175種類を使用しています。また2019 年以降、コラボレーションツールの使用も44%増加しました。チームが処理する必要がある情報は、かつてなく分散しています。

チェーンのイラスト

各チームが必要なツールを使用できるようにしたいのはもちろんです。では、部門横断的な作業についてはどうでしょうか?その作業はどこでするのがいいのでしょう?

すべてのツールを接続するプラットフォームレイヤーを設けることで、ワークフローを合理化し、健全なコミュニケーションをサポートすることができます。チームがコラボレーションするための中心的ツールがあれば、ナレッジの検索に費やされてきた時間をすべて、実のある作業のために使用できるのです。

いくつか例をご紹介します。

  • デザイナーがプロトタイプをNotionページに埋め込むと、マーケティングやエンジニアリングが別のツールにアクセスせずとも、フィードバックをその場で簡単に提供できるようになります。また、フィードバックが一か所に集約され、より多くの人が参加できるようになります。

  • チームアンケートから組織全体のフィードバックまで、情報を収集するためのフォームを埋め込むことができます。Notionという同じプラットフォームレイヤーで作業できれば、フォームに入力するために他のツールにアクセスする必要はありません。

  • ツール同士が対話する方法を作成して、ツール間でナレッジが行き来するようにします。たとえば、APIを使って異なるツールから更新を取得したり(Slackなど)、関連データがひとつの共有ツールに集約するシステムを作ることができます。

ここでの利点は、コンテキストとアクションが共存することです。それらが隣り合って存在することにより、チームメイトは課題とその目標、次に何をすべきかを完全に把握してすぐに行動に移ることができます。情報を得るためにツール間を行き来する必要はもうありません。

急成長からの教訓:知識は力なり

Notionは、パンデミック前は対面での作業に依存していました。が、リモートワークの開始により、私たちはチームが情報にアクセスし、それに基づいて行動できるシステムの構築を迫られました。

過去2年間、Notionは大幅な成長を遂げました。従業員数を3倍に増やし、2回の資金調達ラウンドを確保し、2社を買収し、プロダクトの成長を加速させました。とはいえ私たちは、こうした現実に適応する方法をまだ学んでいる最中です。

私は急成長するNotionのCOOとして、そしてLinkedInのような上場企業のプロダクト部門VPとして、成長に関わる2つの面を経験してきました。そのどちらにも独自の課題がありました。それはスプリント中につながりを維持することだったり、会社のミッションに向かって尽力する何千人もの従業員に明確な目標を設定することだったりします。

今まさに急成長の中にあるNotionが実践しているテクニックである、真のコネクテッドカンパニーの構築とはどういうことなのか。私の経験からもたらされる視点は、その理解を助けてくれています。では、チームの足並みを揃え、迅速に行動し、革新を続けていくために私たちがとっている戦術をご紹介しましょう。

最も重要な情報が記載された、誰でもアクセスできるページをひとつ設ける

当然のことながら、私たちはほぼすべての作業をNotionで行っています。Notionはメモ、ドキュメント、プロジェクト管理、Wikiを無限にカスタマイズできる方法で組み合わせたオールインワンのワークスペースです。あらゆる規模のチームがNotionを使用し、それとともに成長することができます。これは急成長企業にとって重要なことです。

私たちのNotionワークスペースでは、サイドバーの上部にOS(オペレーティングシステム)ページを設けています。ここは当社の最も重要な会社情報があるホームで、ベテランから新入社員まで全社員が参照できます。また、オンボーディングプロセスの一部としても使われます。入社1日目から、こうした情報の透明性にふれるのです。

内容は会社の目標だけではありません。その中には、私たちのミッション、戦略、バリューなど、チームとしての行動様式や意思決定をガイドするマクロ観点のドキュメントが含まれています。また、過去数年間のミッションと戦略を網羅したアーカイブもあり、前進していくための全体像や、多くの決定の背後にある理由を理解するのに役立ちます。

こうしたことにより、チームの一体感を最高レベルに押し上げることができます。そしてチームの足並みが揃うと、より迅速に意思決定することができるのです。「これは2022年の目標にかなっているか?」「このことは私たちのミッションにどう寄与するのか?」こうした種類のアラインメントは、チームや個人が私たちの活動を推進するためのガイドとなります。

組織全体からフィードバックを得るシステム

プロダクトの仕様から監査ログに至るまで、すべてのプロセス、ポリシー、提案書をひとつのNotionデータベースに保管し、チーム全体がアクセスできるようにしています。その中には、2,000を超えるアイテムが保管されています。

このシステムの中核となるのは RFC(Request For Comment)です。これは、組織全体の人々がアイデアを発表し、社内全員からフィードバックを収集するのに役立つフォーマットです。ステータスを「RFC」に切り替えると、このページに誰でもコメントできるようになります。たとえば営業部門の人がエンジニアリングプロジェクトに対しコメントしたり、プロダクト部門の人が人事の手続きについてコメントしたりできます。あらゆるところから素晴らしいアイデアが集まった時、異なるチームが協力してイノベーションを起こすことができるのです。

ホームを使って部門横断的な作業を加速

マーケティング、プロダクト、エンジニアリング、人事。Notionではすべてのチームに独自のWikiがあります。それぞれがサイドバーのトップレベルページとして表示され、その下にドキュメントがネストされています。これらのページでは、チーム固有のツール情報から個人の役割と責任に特化したプロセスまで、あらゆるものを見つけることができます。

こうしたWikiのトップにはデータベースがあり、そのチームのプロジェクトのステータスが示されています。チームはお互いのWikiに簡単にアクセスして、進行中の作業を見たり、さらにはその取り組みにどのように加わるかなど、大事な確認をしたりできます。これにより、以前はSlackや会議で共有する必要があった情報を各自がセルフで入手できるようになり、時間が節約されています。

同様に、部門横断的な大規模なイニシアチブがある場合、そのイニシアチブ単位でもホームを設けています。情報の伝達からスケジュール、関係チームまで、必要な情報がすべて1ページにまとめられています。そこは誰もがつながり、コンテクストを入手し、仕事を遂行できる場所です。このレベルまでカスタマイズできなければ、ニーズに応じた部門横断的なプロジェクト管理は実現しません。

複数チームでの共同作業は、会社やチームのレベルと個々のプロジェクトの両方で発生します。仕事の核となる適切な情報をどこで入手すればいいか各チームが知っていれば、迅速に動くことができます。

コネクテッドリーダーシップがコネクテッドカンパニーを作る

情報、システム、ツール。これらを意図的に組み合わせて使用することで、成功し、迅速に行動し、イノベーションを起こすために何をすべきかを従業員に理解してもらうことができます。その方向を決めるのはリーダーシップです。

成長する鉢植えの植物

コネクテッドカンパニーとは、ビジョンを持って運営されている企業です。効果的なコミュニケーションチャネルを積極的に設置します。そこに到達した企業のリーダーたちは、従業員に対し稀に見る信頼と投資を投じてきました。従業員がより多くの情報にアクセスできるようにしただけではなく、特に仕事を成功させるために必要なものにすぐにアクセスできるようにしたのです。

コネクテッドカンパニーを作ることは、終わりのないプロセスです。しかしながら今あなたがそれを始めれば、競争に打ち勝ち、世界最高の人材がキープできるような体験を創出するために、最もレバレッジが高く、最も持続的な効果をもたらす仕事ができるでしょう。

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